2017-02-11

今鏡マンスリー「師実」

師実はその日、修理大夫橘俊綱が主催する宴に遅れて参上した。
俊綱はすでに酔っているらしく、鼻のあたりが真っ赤であった。

橘俊綱。
橘姓ではあるが、彼は師実の同母の兄である。
師実・俊綱の母祇子は身分が低かったため、俊綱は他家に養子に出された。
俊綱が生まれたころには隆姫や、他の妾妻から別の男児が生まれる可能性が十分にあったので、卑賎の母を持つ俊綱をあえて引き取る必要はないと頼通は判断したのだ。
だが結局頼通は子供に恵まれなかった。
祇子以外の女性から生まれた子供は皆早世してしまったのだ。
祇子から唯一の実娘寛子を得て、ようやく頼通は祇子腹の子を日の目に出そうという決心にいたる。
寛子の前に祇子は男児を四人産んでいたが、全て寺に入れたり、他家に養子に出したりしていた。
師実は寛子の弟であったために、それらの処遇を受けずに済んだのである。
俊綱と師実には二十六歳の年齢差があった。

生まれた順番が違ったという、それだけのことだ。
もしかしたら、自分はここにいる同母兄の立場だったかもしれないのだ。
師実は、皆の前で嬉々として挨拶をしている俊綱を見た。
裕福ではあるが、所詮は修理大夫だ。
あの同母兄はひねくれているに違いない。
もしかしたら、私のことを憎んでいるのかもしれない。
自分と私の身分上の差を思って。

一刻ほど過ぎたあたりだろうか。
身分の高そうな男が俊綱に向かって、
「そなたの裸踊りが見たいものよのう」
と言い出した。
俊綱は嫌がるふうでもなく、
「良いでしょう、とくとご覧あれ」
などと言って着物を脱ぎ始めた。
師実はそれを見ていて苛立ちを抑えきれなくなり、
「失礼する!」
と言って宴の会場を後にした。
私の同母兄が、あんな考えなしの道化だったとは。
全くもって馬鹿馬鹿しい。

帰り仕度をしていた師実に、下仕えの男がそっと耳打ちする。
「中将さま、主が土産物を渡したいので後で自分の局に来てほしい、とのことでございます」
この期に及んでご機嫌取りか。
私が摂関家の嫡子だからか。
師実は苛立ちを覚えながらも、案内されて俊綱の自室に向かった。

「修理大夫殿、入りますぞ」
師実が局に入ると、俊綱がしゃっくりを上げながら師実を待っていた。
だいぶ酔っているようである。
「中将殿。何か気に障りましたか?」
「いいえ。私は何も」
まだ年若い師実は、仏頂面で応える。
「本当にそうですか?」
師実は黙り込んでいたが、やがて口を開いた。
「今は修理大夫とはいえ、元は私の同母の兄だった者が、人前であんな醜態を見せて。ただ恥ずかしくなっただけですよ」
吐き捨てるように、師実は言う。
「そうですか」
俊綱は気分を害した様子もなく、ひょうきんそうな顔をしてただ聞いていた。
だが、師実の目を覗き込むように見た後、不意に大声を出した。
「いつまでもいじけた顔をしてんじゃねえぞ、小僧」
「なっ……! 誰に向かってそんな口を叩いていると思っているのか。大体、私はいじけてなど……」
「いじけてるじゃねえか。大方拗ねてやがるんだろう。孤独ぶって、自分を憐れんで。全く、摂関家の跡取りになろうって人が、これでは先が思いやられるってもんだ」
「あ、あなたはどうなんですか? 父に捨てられて、自分を憐れんだことがなかったというのですか?」
突然の怒鳴り声にびっくりして、師実は及び腰になる。
「もちろんあったさ。泣いて夜を明かしたことも一度や二度じゃない。明るい場所にいる皇后(寛子)や、お前を羨ましく思ったこともある。だが、私はそこから立ち直った。私には養父(ちち)がいた」
「お養父上が?」
「ああ。養父は宇治殿の息子だというのに私に傅く(かしずく)わけでもなく、私を厳しく育てた。それが養父の愛情だと知ったときに、私はすべてを許すことが出来た」
「そう、ですか。そんなお養父上がいて、私は羨ましい」
「お前にもいるじゃねえか。立派な父親が」
「父など……。自分の保身のために私を引き取っただけの人を、父と思ったことなどありません」
「宇治殿は小狡いところもあるが、別に不誠実なわけじゃない」
「あなたにはわからないでしょうが……」
「わかるとも。あの人は私と対面するとき、優しい言葉をかけたりはしない。ひいきをしたら私のためにならないと、分かっているからだ。だが、その目の奥にはすまなそうなものが浮かんでいる。内心では、悪いことをしたと思っているのだろうよ」
「そう、ですか……。だからといって、私はこれからどうしたら」
「父親のことは許さなくてもいい。ただ、自分を思ってくれている人のことを無碍(むげ)にはするな。自分のことも大切にしろ。自分を大切にできて初めて、周囲を幸せにすることが出来るんだ。わかったか?」
「……はい」
師実は深々と頭を下げて俊綱の居室を後にした。


師実は帰り道で、下仕えの男に向かって呟いた。
「修理大夫殿はいつもああなのですか?」
「ああ、とは?」
「ひどく酔っていらっしゃったではありませんか」
「そんなことはありませんよ。あれしきの酒の量で酔っ払ったりはしません。普段から蟒蛇(うわばみ)のように飲みますよ」
師実は驚いて、
「でもあんなに鼻を赤くしていたではありませんか」
と言った。
男は笑って、
「あれは元からです。私の赤い鼻は祖父の御堂殿(道長)譲りなのだと、内々でいつも言い張っていますよ」
と答えた。
師実は狐につままれたような心地がした。
あれは、演技だったということなのだろうか。
「うちの殿が、何か失礼なことをしましたか?」
男が不安そうに言う。
「いいえ」
「そうですか」
男はほっとした表情になった。
「ただ、素敵なものをいただきました。大切にしようと思います」
大事にしまって、宝物にしよう。
俊綱から言われた言葉を胸に、師実は新しい人生の第一歩を踏み出した。


   参考文献
角田文衛(監) 2012 平安時代史事典 角川学芸出版

橘俊綱については「今鏡」にも素敵な逸話があるので、良かったら読んで下さいね(*^^*)
藤波の上 第四 伏見の雪のあした 所収です。
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2017-02-08

長和の賢后藤原彰子「受け継がれるもの」

藤原彰子を大河ドラマの主役にするなら、ということでなえのきさめさんが考えてくださったサブタイをもとに創作しました。
どのサブタイを作品にするか迷いました。
どのタイトルも秀逸なので。
↓よければこちらもご覧ください。
https://twitter.com/_naeno/status/819885455042711552


静けさをたたえた廟の中で、彰子は頼通と二人きりだった。
女房さえも、近づけさせなかった。

「……このたびは、息子師実のかかる不始末を処理して下さり、誠にありがとうございます」
彰子は無言である。
それが姉の「怒り」のあらわれであることを知っている頼通は、何とか言葉を繕おうとする。
だが、言葉は口をついてこない。
「色好み、というのでは済まされませんよ。無節操に私の女房に手を出して、飽きたら捨てて。ほとぼりが冷めたらまた手を出しに来て、子供をつくらせたと思ったらまた逃げ出して。無責任にもほどがあります」
「申し訳ございません」
頼通は深く頭(こうべ)を垂れる。
「あなたがあの子に遠慮する気持ちはわかります。同母の兄を次々と寺に入れられたあの子が、あなたを恨めしく思う気持ちもね。でも、あなたは親でしょう? どうしてもっと強く言えないの」
頼通を叱咤する彰子、叱咤されて不甲斐なさそうにしている頼通は、国母と前関白(さきのかんぱく)というよりは、その辺にいる一介の姉と弟のようだった。
「はい……。申し訳、ございません」
頼通は謝罪するが、とうとう「私からも言っておきますので」というような発言はなかった。
時間だけが過ぎていく。
彰子はその間無言だった。
夕日が廟の中に差し込む。
「失礼、致します」
そう言って頼通はとぼとぼと、歩いて帰っていく。
その背に向かって彰子は声をかける。
「頼通」
子ども時代と同じ呼び名で、彰子は頼通を呼んだ。
「真心を込めて向き合わなければ、伝わるものも伝わりませんよ」
頼通はわかっているのかいないのか、力なく頷いた。

頼通の遅くに授かった嫡子、師実。
卑賎の母を持つあの子が、なにを思って女色をむさぼるのか。
それを想像するのは容易だけれど。
そう同情ばかりもしていられない。
私には自分に仕える女房を守る、義務がある。


女色に関しては、聡明と名高いあの東宮尊仁親王もなかなか、という話だ。
色好みであっても、そこに真心がこもっているのなら、私は何も言わないのだけれど。
彰子はそう考える。

彰子の亡き夫、一条天皇は、真心にあふれた人だった。
だが、その真心が最初から彰子の方に向いていたわけではなかった。
一条帝は最初の后である定子をこよなく愛していて、そこに彰子が入る隙はなかったのである。
そしてそれは、定子が亡くなってからも変わらなかった。

真心をもって人に接する。
それ自体は確かに美徳ではあるけれど、残酷な面もある。
こと愛情という点に関しては。
真心を持っているからこそ、偽りの愛を囁くことが出来ないのだ。

最高権力者道長の娘。
中宮。
帝の正妻。

愛さなければならない。
子どもを産ませなければならない。
けれど、亡くなった愛しい人を忘れることも出来ない。

彰子には、一条天皇の苦しい気持ちが、痛いほど伝わっていた。
彰子もまた、苦しい気持ちで一条天皇を慕っていたからである。


彰子が入内したのは十二歳の時だった。
当初は自分が、どのような立場におかれているのか気づきもしなかった。
けれど、夫の心の中に別の女性がいることだけはわかった。
誰に言われるまでもなく、気づいた。

優しい言葉をかけてくれる青年帝一条。
頑なだった少女時代を経て、彰子はいつしか彼を慕うようになった。
自分の女房である紫式部から、漢文を学ぶようにもなった。
ほんの少しでも、一条天皇に近づくために。
彼の世界を、知るために。

局に置いてあった漢詩文を見て、一条天皇が少し興奮した様子で尋ねてきたことがあった。
「あなたも漢詩を読むの?」
あなた「も」。
誰を想定していたのかは容易にわかった。
亡き皇后は漢詩を読むことのできる人だった。
「その……」
一条天皇は、ばつが悪そうな顔をして口ごもった。
「亡き皇后は、どのような漢詩がお好きだったのですか?」
彰子がふっと笑って尋ねる。
「えっ?」
「知りたいのです」
「なぜ?」
一条天皇は心底不思議そうな顔をしていた。
「あなたさまを、知るために」
「妙なことを仰るのですね。『笛は聴くもの、見るものではございませぬ』と言って私をやり込めたあなたらしいといえば、あなたらしいですが。これもあのときの機知(きち)と同じたぐいなのですか?」
何年前の話をしているのだろう。
確かに彰子は以前、笛を吹きながら「こっちをみてごらん」と言った一条帝に対し、
「笛は音を聴くもの。見るすべはございませぬ」と返したことがある。
でもあれは、稚い少女だったころのことだ。
「違います」
静かに、彰子は答える。
内心では、少し不愉快だったのだが。
「あなたさまは、亡き皇后をどうしても忘れられない。あなたさまをお慕いしているからこそ、私にはそれが苦しかった。でも、亡き皇后はあなたさまの一部なのだと、そう考えたら楽になって。だって、誰にも体の一部を引きはがすことなどできないでしょう?」
彰子は自分の口から発せられる言葉を、他人事のように聞いていた。
そうだ、私はそう考えるようにしたんだ、と思いながら。
「中宮……」
彰子はうっすら微笑む。
だいぶ大人ぶって。
背伸びをして。
「だから教えてください。亡き皇后のことを」
「すまない」
一条帝の目に、涙が浮かんだ。

それからだったような気がする。
夫が自分のことも見てくれるようになったのは。

私だけを見てほしいなんて、とても言えない。
それぐらい、亡き皇后を思う夫の心は一本気だった。

彰子は軽く目を閉じた。
皆、私のことをこれ以上なく幸福、のように言うけれど、私にはとてもそうは思えないわ。
けれど私は、幸福者のようであり続けなければならない。
摂関家のために。
帝であった子どもたちのために。
そして一番に、夫である一条天皇のために。


   参考文献
山中裕・秋山虔・池田尚隆・福長進(校注・訳) 1998 栄花物語 小学館
山本淳子 2007 源氏物語の時代ー一条天皇と后たちの物語ー 朝日新聞出版
2017-01-01

源氏物語深夜の真剣創作60分一本勝負「桜人」

源氏は宴からの帰宅途中、何とも風情のある邸の前を通りかかった。
あふれんばかりの桜の花が、土塀の上からはみ出ている。
その芳香に惹きつけられて、思わず足を止める。
従者である惟光に、
「ここはどなたの邸宅なのだ」
と尋ねる。
惟光は
「私のような下々の者は存じ上げません。屋敷の女童にでも聞いてみましょうか」
「そうしてくれ」

しばらくすると、惟光が邸から出てきた。
女童がいなかったので女房に尋ねたところ、
「我が主は、誰とも知れぬ人間に名をあかすような御方ではありません」
と突っぱねられました。
惟光は肩を落としている。
「何とも気位の高い御方のようだ。みれば庭の様子といい、邸のたたずまいといい、並大抵の人とは思えない。なんとかして、住人の素性を知りたいところだ」
源氏は扇を口元にあて、なにやら思案を始めた。

源氏は庭の入り口にどかっと座り、直衣の首元をゆるませながら、「いやあ、酔ってしまった。ここで少し休ませてもらおう」などと言い出す。
「なんと見事な桜だろう。『*花間一壼酒 獨酌無相親』というではないか。いやあ、ひとりで飲むのはわびしいものだ。誰か、酒に付き合ってくれるものはいないものか」

*読み方は(花間(かかん) 一壷(いっこ)の酒、独り酌(く)んで相(あい)親しむもの無し)
現代語訳は「花の咲き乱れるところに徳利の酒を持ち出したが、相伴してくれる者もいない」というもの


これを聞いて、邸の中の女房たちは困り果てた。
みれば身なりのいい、きちんとした身分の人のようである。
下男に頼んで追い払うのは簡単だが、それをしてあの貴人(あてびと)に恨まれたり、世間から悪評を立てられたりしてはなんともおもしろくないはなしである。
女房たちがいくら知恵を振り絞っても解決策は見つからなかった。
それを見かねた女主人は女房たちの群れにそっとにじり寄り、
「そなたたちは黙って見ていなさい」
と言って庭の方へと向かった。

その姿を認めた源氏が、大仰に声を立てる。
「おやおや、桜の精のお出ましですか」
女主人は庭には出ずに、半蔀を隔てて源氏と会話をした。
「*……舉杯邀明月
對影成三人
月既不解飮
影徒隨我身
暫伴月將影
行樂須及春
我歌月徘徊
我舞影零亂
醒時同交歡
醉後各分散
永結無情遊
相期遥雲漢」
とさっき源氏の口ずさんだ漢詩の続きを詠唱する。

*読み方は、杯(さかずき)を挙げて名月を迎え、影に対して三人と成る。
月既に飲(いん)を解(かい)せず、影徒(いたづらに我が身に随う。
暫(しばら)く月と影とを伴い、行楽(こうらく)須(すべか)らく春に及ぶべし。
我歌えば月徘徊(はいかい)し、我舞えば影零乱(りょうらん)す。
醒(さ)むる時ともに交歓(こうかん)し、酔うて後は各々(おのおの)分散(ぶんさん)す。
永く無情(むじょう)の遊(ゆう)を結び、相期(あいき)す遥かなる雲漢(うんかん)に。


現代語訳は、そこで杯を挙げて名月を酒の相手として招き、月と私と私の影、これで仲間が三人となった。
だが月は何しろ酒を飲むことを理解できないし、影はひたすら私の身に随うばかりだ。まあともかくこの春の間、
しばらく月と影と一緒に楽しもう。
私が歌えば月は歩きまわり、私が舞えば影はゆらめく。
しらふの時は一緒に楽しみ、酔った後はそれぞれ別れていく。
月と影という、この無情の者と永く親しい交わりをして、遥かな天の川で再会しようと約束するのだ。
です


「李白の月下独酌(げっかどくしゃく)をご存知なのですか?」
源氏が驚いた声を出す。
目を爛々と輝かせながら。

源氏の態度をよそに、女主人の態度は冷たい。
「あなたさまも李白のように、月と影とともに酒をあおればよろしいでしょう。この邸は、あなたのような御方が気軽に立ち寄っていい場所ではありませんよ」
「月は天頂にあって酒を飲むことは出来ないし、影は私の真似をするだけ。半蔀を隔ててでも構いませんから、私と一緒に飲んではいただけませんか。桜の精霊さん?」
女主人の高慢な態度に少し腹を立てた源氏は、わざと馴れ馴れしいような言い方をする。
「それに、私は桜の精霊などではありません。ただの桜の守り人です」
「桜の、守り人? あなたは誰からこの桜を守っているのですか」
「あなたさまには関係のないことですわ」
女主人はぴしゃりと言い放つ。
「そうですか。では私はここで一杯、いや一杯と言わず何杯でもやらせていただきますよ。あなたが誰か、教えてくれるまでは、ね」
そう言って源氏は懐の中から徳利(とっくり)とお猪口(おちょこ)を取り出してちびちびと飲み始めた。
女主人は困り果てたが、半刻経ってもそこを動こうとしない源氏に観念し、身の上を語り始めた。
「私は亡き前坊(今でいう東宮)の御息所だった者です」
源氏は内心ひやり、とした。
まさかそれほど身分の高い人だったとは、と。
「それで、あなたさまは?」
女主人が源氏の方を見て言う。
「二十年程前に亡くなった、帝(桐壺帝)の更衣を覚えていますか?」
「ええ、帝から並々ならぬ寵愛を受けたという、あの更衣のことでしょう」
「私はその更衣の息子です」
にっこり笑って源氏が言う。
すると女主人は狼狽して、
「まあ、私ったら、帝の皇子になんて無礼を」
「いえ、無礼なのは私の方です。お許しください。それに私は皇子ではありません。臣籍降下して、今はただの臣下です」
源氏は半蔀越しに女主人をしげしげと見つめた。
教養にあふれ、態度も立派だ。
声音も美しい。
御目もきっと麗しいに違いない。
「近々、また寄らせていただきますよ。今度は詫びを入れに」
「いいえ、そんなこと……」
「でしたらこう言い変えましょう。あなたに会いに、ここ六条まで参ります」
「そんなことをいわれても、困りますわ……」
「男手がないと何かと不便でしょう。前坊の妃と言えど、財産の乗っ取りなど、良からぬことを考える者はおそらくたくさんいる。あなたは大変しっかりした方だとお見受けしましたが」
「いいえ、ご心配には及びません。私は私一人の力で、前坊の残してくれたものを守りますわ」
「そうですか……」
源氏はなにかを考える顔をした。
その横顔を見て、なんと美しい御方だろう、と女主人はほうっとため息をつきたくなった。
「なにかあればなんでもお申し付けください。美しい、桜の守り人」
源氏はそういうと優雅な身のこなしで邸を後にした。


参考サイト
「漢詩の朗読」
http://kanshi.roudokus.com/gekkadokusyaku.html


お題は「フリー」とのことだったので、源氏物語の失われた巻「桜人」をテーマに書いてみました。
源氏物語では、六条御息所との馴れ初めの部分が欠けているらしく、もしかしたらこんな感じかも……、と想像を膨らませて書いてみました。
前坊の御息所ですから、「正体を知らずに逢って」は無理があるかなあとも考えましたが、お題を「桜人」にしたかったので、ない頭を振り絞って考えました。
酔ったふりをして庭先に居座る源氏はわりと気に入ってるんですけれど(笑)。

あと、月下独酌は素敵な漢詩ですね(*^^*)


それでは、新年もよろしくお願いいたします!
2016-12-04

長岡音むすびフェスに行ってきました!



楽しかったですO(≧∇≦)O
参加費が無料なのがまたスゴイ。
と、同時に運営は大丈夫なのか?と心配になってしまったσ( ̄∇ ̄;)
関係者でもないのに(笑)。
それを一緒に行った人に話したら、市からいくらか出てるんじゃない?みたいなことを言われました。
確かにそうかも!
まあ、あくまでも憶測ですけどね。
グッズ販売もしてましたし。
グッズはちょっと買う気にならなかったので、わかりやすく基金など設置するのも手なんじゃないかなあ、と思いました。
まあ、第一回目ですしね(^_^;)
来年以降もあるといいなあ。
2016-12-02

思いつきホロスコープ診断13

2012/04/17 19:37 参照数103

平清盛のホロスコープを診てみます。

こちらの記事(http://www.google.co.jp/url?sa=t&rct=j&q=%E6%B8%85%E7%9B%9B%E3%81%AE%E8%AA%95%E7%94%9F%E6%97%A5&source=web&cd=1&ved=0CCYQFjAA&url=http%3A%2F%2Fwww.yomiuri.co.jp%2Fadv%2Fwol%2Fopinion%2Fculture_120227.htm&ei=LkWNT6acDKiSiAfmta3KDw&usg=AFQjCNHEXHDkK0XEMDScdubxd-STOAJ5Kg)を参考にしました。
太陽暦か太陰暦なのかもよくわかりませんし、100%確証のあることなのかも不明ですが、興味があったので一応出してみました。

元永元年1月18日 京都?生まれ
西暦にすると1118年2月10日
〈ユリウス暦で診た改訂後〉

水瓶座の太陽
進歩性と革新精神、独創性と飛躍的な発想力の持ち主です。
友愛精神と平等意識の持ち主であり、独立心も旺盛です。
未来を先取りした新時代の寵児となる人がいる半面、体制に与せず過激な反逆児となる人も多くいます。
自己の信念に忠実であるため個人主義者の様に見られやすいのですが、実際は同志的連帯を求める気持ちがきわめて強いです。

乙女座の月
考え深く冷静な性格です。
現実感覚に富み、実利的な取引をします。
細部を見落とさない注意深さがある反面、度を越して小うるさく干渉的なやり方をする傾向があります。

水星と金星のコンジャクション(0度)
快活な性質と愉快で気楽な態度を与える座相です。
人づきあいが良くて如才なく、話術に魅力があり、楽しい遊びや社交を求めます。
音楽・美術・文芸を愛好し、趣味感覚も年齢より若々しいでしょう。

これに海王星がオポジション(180度)
夢想性が悪い方にあらわれるかもしれません。
楽しい遊びや社交を求めすぎて、非現実的な考えを持つようになる、というような。

月と海王星のコンジャクション
非常な感受性と空想がちな心、心霊的素質を持ちます。
敏感すぎる心が現実に適応できず、隠遁生活を好むこともあります。

これに土星がトライン(120度)
堅実さがいい方向に働いて、上手く社会に適応できるでしょう。

冥王星、木星、太陽が太陽を中心に小三角(60度、60度、120度の関係)
権力・幸運・意志が調和的に働きます。
特に政治の世界に進出するようなことがあれば、いかんなく才能を発揮するでしょう。
意志をもって政治に励むと幸運がついてくるような配置です。

(まとめ)
冥王星・太陽・木星の三天体からなる小三角は、後三条天皇も持っていました。
なんだかムネアツです。
執政者として、素晴らしいものを持っていた、と考えられます。
月と海王星のコンジャクションは意外でしたが、厳島神社の建立など、意外とロマンチストだったのかもしれません。
あとは太陽の革新性が上手く生きています。
同時に気配りの人でもあり(月が乙女座なことから)、この時代のリーダーとしては申し分がありません。


〈ゴレゴリウス暦で診た改訂前〉
山羊座の第三旬の太陽。
この星座に太陽を持つ人は組織の才と社会的使命感に恵まれます。経験と実績の上に立って地歩を保つ人であり、考え方は用心深く保守的です。世間の信用を重んじ一歩一歩着実に歩むため、確実に出世の階段を昇ります。
第三旬の太陽。土星に加えて水星の影響を受けます。物の価値を見抜く能力があり金儲けが巧みで、かなりの蓄財力もあります。しかし、水星の否定的な部分が現れると、冷静さは非感激性となり、悲観的な考えから抜け出せなくなります。

獅子座の月。
誇り高く高尚な性格です。生来人の上に立つ器量があり、頼まれると面倒なことでも引き受けて世話をします。自分の存在を強く意識しているので、称賛されることが好きです。しかし、ときには尊大で横柄な面が現れます。教養のあるなしを問わず大きな包容力の持ち主で、人の情愛には最大の反応を示します。

火星、海王星、木星が木星を中心にT-スクエア
闘争心、理想、宗教or教育or発展性が大喧嘩。
火星と海王星の凶座相。自己賛美と他人を疎んじる傾向があり、憎悪と我儘が人格的な欠点に。非現実的な野望を持ちやすく、努力の方向を誤るために失望に見舞われます。
火星と木星の凶座相。自慢と無謀が人格的な欠点を作りやすい。規律や保護に反抗したがる性格のため、不利益を招きます。
木星と海王星の凶座相。非現実的なアイデアを持ちやすく、具体性に欠けた計画や根拠のない信頼から人生を混乱に導きがちです。迷信深さとだまされやすさもあるようです。

天王星、太陽、冥王星が冥王星を中心にT-スクエア
改革心、自分の意思、権力or破壊性が大喧嘩。
天王星と太陽の凶座相。自意識が強く、反逆的な性格です。異端的な教祖的リーダーの素質もうかがえますが、突然の評判の悪化や運命の逆転に注意を要します。
天王星と冥王星の凶座相。現存しているものを転覆させようとする性質を持ち、破壊的な事柄に執心しがちです。職業生活の激変に遭いやすい、時代変革の嵐と体制危機をはらんだ座相です。
太陽と冥王星の凶座相。自己顕示欲が強く、自己の能力を過大評価する傾向があります。狂信的な大望を持ちやすく、支配的地位を渇望します。運命的には社会的背景や後ろ盾となる人を失いやすい。人生の重大時に信念を失う聞きも生じます。

水星、土星、海王星が地の星座でグランドトライン。
知性、忍耐力、理想が大連立。
水星と土星の吉座相。統一のとれた精神と論理的な思考力を持ちます。律儀で正直な人柄で、ある程度の野心と政治的洞察力もあります。
水星と海王星の吉座相。豊かなイマジネーションとともにフィクションの能力を与える座相です。他人の心情や思想に影響されやすいのが弱点ですが、慈悲や慈善に対し、理解があります。
土星と海王星の吉座相。
優れた自己統制力と精神集中力を持ちます。健全な計画と実際的な手腕が理想の実現を助けます。卓越した知性があり、物事を秩序立てたり、組織をアレンジする能力に長けています。

太陽、水星の合(0度)。
自己表現に富む半面、何事も大胆に断言したがり、かなりの偏見の持ち主ですが、性格的には健全です。知的・合理的な精神を持ち、良い意味での実利性もあります。

太陽、金星の合(0度)。
品性穏やかで情愛の濃い性格です。競争社会より美と快楽の追及に本質があり、演劇界や芸術の世界との接触に有望です。上位者から愛顧されやすく、また上流の社会に属する人々の間に友情を持ちます。男女問わずこのアスペクトを持つ人は、デリケートでフェミニンな印象を与えます。

天王星と金星のオポジション(180度)。
インモラルな恋愛事件が多いでしょう。自由気ままな考えと我儘な感情を持つため、共同に失敗します。

月と金星のオポジション(180度)。
優しさを他人に利用されやすく、評価判断力が弱いところがあります。愛情問題については諦観的であるにもかかわらず、案外人気は高いでしょう。

月と木星のトライン(120度)。
慈悲深く宗教心に富み、他人を寛大に扱い、またよく援助する性格です。なかなか抜け目のない実際的能力があり、ビジネス上の幸運が多い。良友の援助に恵まれやすく、家庭環境も良好。

太陽と土星のトライン(120度)。
実力以上に責任ある立場に立たされやすいけれども、困難を耐え忍ぶ持久力は充分に持ち合わせています。思慮深く威厳があり、他人に落ち着いた影響を与えます。正直で任務に忠実な性格から、年長者の引き立てを受けます。組織運営の才と経営能力があります。また、晩年の成功と安泰も約束されています。


プログレス法で保元の乱が起こった1156年を見ると、月と水星の凶座相(90度)と、水星と金星の合(0度)とが形成されています。
月と水星の凶座相は、心労と多くの小さい苦難が人生に現れやすく、緊張の時期を示します。判断を誤ると今の地位や評判を失います。
水星と金星の合は美や芸術に心を傾けること、愛や好意を表現しようと努めること、社交や訪問の機会に恵まれること、業者間の交流や利益交換が上手くいくことを示します。
清盛38歳の年は重要なターニングポイントだったのですね。結果的には判断を誤ること(=崇徳院方につくこと)はなかったわけですが、実はかなり揺れていたのでは?



自分の中にものすごく葛藤があって、でもそれを乗り越えられるだけの運も持っていて、史実と照らし合わせてみると運がいいだけじゃなく努力もしたんだろうな、という印象。
T-スクエア二つにグランドトライン一つを持っているホロスコープの持ち主はそうはいないはず。
ものすごい確率なんじゃないかと。

「時代変革の嵐と体制危機をはらんだ座相(天王星と冥王星の凶座相)」がT‐スクエアに組み込まれていることで、それをまともに食らってしまったようなのだけれど、この人の場合はそれをポジティブな方向に持っていくことが出来たというか、なんというか。
時代変革の波を‘受けた,のではなく自ら‘作った,ような気さえするよね。

地の星座のグランドトラインは小泉元首相や後醍醐天皇のホロスコープにも現れていて、個人的には地の星座のグランドトラインはすごいカリスマ性の持ち主が持つ複合アスペクトなんじゃないかと思う。
まさに時代の寵児、といった感じ。

宗教や芸術に対しても造詣が深い人で、でもT-スクエアの中にそういった惑星や座相が組み込まれているから、ときにはそれが人生上で障害となったりもしたんじゃないかな。

小説にするならどんな人物設定にしよう。
いろんな側面を持った人だということは確実。
悩みどころです。
もっと本読んで勉強しなきゃ


   参考文献
岡本翔子 心理占星学入門 2000 扶桑社
石川源晃 1992 [演習]占星学入門 平河出版社
石川源晃 1991 [実習]占星学入門 平河出版社
流智明 1986 占星学教本 JICC出版局
ルル・ラブア 2005 占星学 実業之日本社

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ゆきめ

Author:ゆきめ
ブログタイトル:しおんのいだしぎぬ。

日々のこと、趣味について語りたいと思います。
心理学、西洋占星術、歴史(主に院政期)など。
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2012年11月6日ウェブリブログから移行しました。記事の上にある参照数とブログ気持ち玉はウェブリブログのときのものをそのまま載せたものです。

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