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2012-11-13

箱庭アルバム(効果・解釈編)

2012/03/17 19:42 参照数120

レジュメ②

   1、効果
箱…心理的に守られた空間。箱の中という空間は自由を制限する枠組みだが、枠があるからこそ自由な自己表現ができる。人はあまりに制限のない自由の前では、かえって戸惑いや恐れを感じ、自由に振る舞えなくなってしまうものである。
砂…多くの場合、砂との戯れは心の防衛を解き、人をリラックスさせる。
 →「治療的に意味のある適度な心理的退行」を促す
反面、砂はそのさらさらと崩れ落ちる感じから崩壊感を招きやすく、分裂病圏内のクライエントにとっては危険な存在にもなりうる。

   2、解釈
2-1 箱庭表現の諸相
 繰り返すようだが、治療者はあくまでもクライエントの作り上げていく箱庭表現を共に感じ、ともに味わっていくような態度で接すると同時に、その作品の中に表現されたものをできるだけ確実に把握し、意識化していこうとの態度を持っている。以下に示すことは、あくまで便宜的なものであったり、ある程度の示唆を与えるものであったりはするが、決して確定した原理ではないことを忘れないで頂きたい。

   ①統合性
 まず箱庭を見たとき、それに対して全体として受ける感じ、印象のようなものを治療者は大切にしなければならない。そのような印象の中に、統合性が見られるかということは大事である。
 統合性ということをもう少し具体的に述べると、それは分離、粗雑、貧相、機械的、固定的な要素の少ないことといえるだろう。箱庭の作品には、何らかの意味で分離を示すものが多い。分離、二つの世界が全く分かれて存在しているようでも、その間に「戦い」という力関係が働いていたり、橋で結ばれていたり、あるいはもっと積極的に両者の間に話し合いがもたれていたりしているときは、統合への努力があると見るべきであろう。二つの世界というだけでなく、一部分のみが柵で囲まれていたり、数カ所に分割されていたりという形で、分離を示すこともある。このように孤立化したり、分割されたりしている部分が段々と全体に中に統合されていくことは、治療の過程によく生じることである。
 ただ、箱庭内に分割がないということは、統合性が必ずしも高いとは言い切れない。むしろ、それは未分化な全体を示す場合が多いからである。作品を見て混沌とした印象を受けたら要注意で、つまり箱庭内の分割の解釈は多義的なものなのである。
 次に、粗雑な表現からより念入りな細部にまで行きとどいた表現へと変化する過程も、治療の中でよく経験することである。これは同じような主題や内容が繰り返し現れるように見えながら、その表現の程度がだんだんと統合性の高いものとなるような場合にも認められる。
 また、貧困な表現よりも豊かなものの方が統合性のあることは当然である。貧困であるとは、一般には用いられた玩具の数や種類が少ないことに関係するが、必ずしもそうであるとはいえない。少ない玩具で豊かな表現がなされることもあるし、玩具は多くても統合されていないものもある。例えば画一的、配列などがあまりに機械的になされている場合などである。
 次に、まとまった作品であってもあまりに動きがなかったり、深さを感じさせないような固定的な感じのするものも統合的とはいえない。統合性というためには、そこに何らかの力のつり合いや、動きを秘めているものでなければならない。先に、少数の玩具でも統合性の高いものが出来ると述べたのはこのためであって、少数のものの間でも力強い力関係のつり合いを感じさせるものが存在するわけである。
 上述のような総合的な作品に対して、全く混乱してしまった作品がある。全体が支離滅裂で、何らの関連も見いだせぬ場合である。これは治療者に対する攻撃として、意図的になされた場合は了解もつくし、そのことにも治療的意味が存在するが、あまりに了解困難な、混乱した作品の場合は、作業の途中で中止させるほうが望ましい場合もある。

   ②空間配置
 箱庭の世界の構成に関して、その箱のスペースをどのように使ったかについての視点も、解釈上重要である。与えられた箱庭の枠内におけるその領域の使い方は、ヨーロッパに古くからある空間象徴理論と対応して考えられている。これは左と右を無意識と意識、内界と外界などを対応させ、上と下を精神と肉体、未来と過去、父と母などと対応させる考え方である。これももちろん例外が存在するので、絶対的ではない。むしろすべての例に対してこのような例を適用するというよりは、このような考えを基にして見ると分かりやすい例が多かったというべきかもしれない。
 内界から外界へ、過去から未来へと新しい可能性が開発されていく源泉として、左下隅の領域に注目できるケースは多い。工事中、泉の湧き出る場所が、そこにはよくある。
 乗り物、動物、人物、川などの動きがすべて一定方向に向いているとき、左側に向かっているときは退行(regression)または無意識の世界への移行を、右側に向かっているときは進行(progression)または意識の世界への意向を示すとも考えられている。

    空間象徴の図式(レジュメには載せていました)

   ③テーマ
 箱庭の作品においては、経験的にいくつかの典型的なテーマがあることが知られている。例えば自己像の成長がテーマになり、混沌とした世界の中から何か中心的なものが生じ、それがその人の自己像となって発展していくようなもの。また、領域の拡大、統合、解放が中心になって展開していくようなもの。戦いが繰り返し行われて、制作者の心のエネルギー統合がテーマになるもの。様々なテーマが、制作者の箱庭世界の中に展開される。
 どのようなテーマがクライエントのその時点での問題の中心であるかに対して、セラピストは敏感にならなくてはならない。したがって、治療者はクライエントが訴えようとするテーマに対する感受性を磨くことも、心がける必要がある。


   2-2 シャーロッテ・ビューラー(Buhler,C.)の分類
 1934年、ローエンフェルトの世界技法(The World Technique)を見たシャーロッテ・ビューラーは、これを標準化することに努め、投影法の一種として、世界テスト(World Test)を作製した。簡単に方法を紹介すると、彼女はまず砂の使用をやめ、玩具の種類を一定にした。300個の玩具を設定し、それを次の10群に分けている。

1、人間 2、家畜 3、野生動物 4、家 5、乗り物 6、囲い 7、建造物(橋、トンネルなど) 8、自然(木、湖、川など) 9、武器(タンク、大砲) 10、その他(メリーゴーランド、郵便ポスト、墓石など)

 次に、この作品を分析する項目として、彼女の設定したものを次に述べる。彼女は次の三個のサインを設定し、それぞれについてその程度によって重みづけを行っている。

 攻撃性,A(Aggressive Worlds)                    重み
1、兵隊の戦争                               1A
2、動物の噛み合い,あるいは野生の動物の存在          2A
3、事故(火事,衝突,殺人,強盗,埋葬)               3A         

 空虚性,E(Empty Worlds)
1、50以下の玩具使用                          1E
2、玩具は種類が5以下                          2E
3、人物の不在
 (a)全然人物がいない                          3E
 (b)子どもだけ                               2E
 (c)兵隊と警官のみ                           2E

 歪曲性,CDR(Distorted Worlds)
1、閉鎖的,C(Closed World)                      
 (a)多くの小さく閉鎖された領域の存在                1C
 (b)全く、あるいはほとんど全部閉鎖されたもの           2C
2、無秩序的,D(Disordered Worlds)
 (a)不適切な場所に配置された玩具の存在             1D
 (b)部分の関係がない                          2D
 (c)全く無秩序な配置                          3D 
3、図式的,R(Rigid Worlds)
 (a)図式的な配列                             2R
 (b)人や動物を一列に並べる                      3R
 
 これをそのまま当てはめることはできないが、私たちが箱庭を見る視点として、役立つ点もあることと思う。 

   2-3 キーワード 使われたものの象徴的意味
 箱庭作品の中に使われた種々の事物の分析的な意味から、象徴的解釈をする場合もある。表現を心像としてとらえる以上、こうした側面は多かれ少なかれ見逃すことは出来ない。
 とはいえ、これらを一つ一つ独立的なものとして見ることは危険である。まずは全体を見て、気になったものについて考えればよいと思う。

*以下に示すものは、ヒントのようなものだと考えて下さい。以下のものが、必ずしもそれらを暗示しているとは限りません。あくまでも傾向として、捉えて下さい。

川…橋が架かって、その近くには動物がいる→(渡河のイメージ)
   領域を造る際にも用いられる。

蛇…変化を暗示するシンボル(ウロボロスの世界)

怪獣…恐ろしいもの、危険なもの。古代的な、原始的なエネルギー、など。
    置かれている位置にも注目されたい。

海や貝…女性や母性のシンボル

工事中、泉の湧き出る場所…可能性、未知なもの、など。左下隅の領域(無意識の世界)に用いられることが多い。

公園…人物が一人いて、誰かを待っているように見える。若い女性によく見られるもので、結婚願望、恋愛願望の暗示か。→(「お待ち」のテーマ。公園がよく舞台となる。)


   参考文献
河合隼雄偏 1969 箱庭療法入門 誠信書房
木村晴子 1985 箱庭療法ー基礎的研究と実践 創元社
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2012-11-13

箱庭アルバム(予備知識編)


2012/03/16 19:17 参照数32

大学時代、私は心理学系のサークルに所属していました。
三年生がいなかったので二年生の頃から部長をしていました。
そこで企画したのが箱庭アルバムです。

以下レジュメ①

      ‘箱庭,体験

   箱庭療法(Sandspier,sand play technique)とは?  

クライエントに‘箱庭,を造ってもらい、それを媒介にして治療を行う心理療法の一つ。ローエンフェルト(Lowenfeld,M)によって考案され、その後カルフ(Kalff,D)がユング(Jung,C.G)の分析心理学の考えを導入し、発展させた。
 
 内法79×57の砂箱と、動物、植物、乗り物、建物、人形など、大小様々の玩具。これらを用いて比較的自由に表現される箱庭には、作る人の心像風景、心理状態、自己イメージなどがあらわれるという。何度か作品を作るうちに、表現は変化していく。治療が進むにつれ、領域が広がったり、全体の雰囲気が明るくなったりすることが多い。作品の制作過程において、クライエントは感覚的にしろ、自己の表象を‘理解,し、それはセラピストとの関係に支えられた、「自由で保護された空間」の中で、クライエント自身の自己治癒力を刺激し、心の全体性を探していこうとする力、無意識に調和をとろうとする力を呼び起こさせ、しっかりした自己の存在基盤をおけるようになる、と言われている。

  
   1、特色
 非現実的な表現手段を用いて、クライエントの自己治癒力、潜在的な力を積極的に引き出し、治療を行うこと。セラピストとクライエントの関係の重視。

   2、適応範囲 
   年齢…3歳くらいから大人まで可能
 対象者…神経症圏内のクライエント
      寛解期以外の精神分裂病や、境界例の場合は不適応

   3、技法
 ①材料
 砂箱…大きさは内法57×72×7cm。これは箱を腰のあたりに置いたときに、大体視界の中に入る程度ということで設定されている外側は黒く、内側は青く塗ってある。内側が青いのは、砂を掘ったときに‘水,がでてくる感じを出すためである。
 玩具…特に指定はしないが、できるだけ多くの種類を用意する。人、動物、木、花、乗り物、建築物、橋、柵、石、怪獣など。詳しい内容はここでは省略する。 
 
 ②教示
 できるだけ簡単に、「この砂と玩具を使って、何でもいいから作ってみてください。」というように教示する。実物を見れば、たいていの人は理解するので、くどくどという必要はない。「砂を触ってもいいですか?」「動物ばかりでもいいのでしょうか?」などの質問には、「何でも好きなようにして下さい」と許容的に応答するとよい。

 ③記録と質問
 箱庭を作りながら話をしたり説明をしたりする人があるので、これは全て記録しておく。玩具を置いてゆく順序も記録しておくとよい。写真をとる際には、真上からと、全体の‘感じ,を知るために斜め上方からとを撮影するとよい。
 *描画の方が良いという指摘もあるのですが、時間がかかるので、今回は写真と併用し、スケッチはメモ程度にとどめてください。
 作品が出来上がったとき、「これはどんなのですか。ちょっと説明して下さい」と尋ねると、普通はいろいろと説明してくれる。が、これ以上の質問をすることは少ない。下手に質問することによって、治療関係をこわしたり、治療的な‘流れ,を歪ませたりすることをおそれるためである。なおクライエントの中には、作品を作ってから、自分で作品の説明をしながら「これが僕です」とか「これが先生です」とセラピストまで作品の中に入れ込んでいて、教えてくれる場合もある。だが、作品の中に必ずしも作者と同一視得る人(物)があるとは限らないので、「この中であなたはどれですか」といった質問の行っていない。

 ④セラピストの態度
 重要!)まず作品が作られる間、その傍にいることが大切である。そしてセラピストは終始許容的な態度で、その作品が出来上がっていくのを共に味わい楽しむような気持ちでそれに接していることが望ましい。
 また、あまりにも荒れた作品が置かれるときは、途中でも中止させるほうが良い。治療的に逆効果を示すのである。
 なお、クライエントによっては「先生も一緒に作りましょう」という場合もある。あるいはただ砂を手で触りながら、作品を作らずに話を始めるクライエントもある。これらの場合、何よりも大切なことは、われわれの目的は治療であって、箱庭そのものではないということである。それゆえ、セラピストは治療的立場から自由に判断してこれに対処してゆけばよい。下手に箱庭作りに固執して、治療状況をこわすことのないように常に注意するべきである。
 *箱庭療法とは?で述べた、セラピストとの関係に支えられた「自由で保護された空間」というのを思い出して下さい。これはカルフが「母子一体性の理論」に基づいて、考えだしたものです。
 「母子一体性」…治療者とクライエントの間に母子関係のような関係が成立すること。成立することでクライエントの治癒力を引き出す。
 また、箱庭は治療者と、被治療者との人間関係を母胎として生みだされた、ひとつの表現であると考えられています。治療者は被治療者と、一方的ではない、相互作用的な関係を築けるよう、心がけているのではないでしょうか。

 《番外》箱庭アルバムを作ってみよう!

(表がのせられなかったので文章で説明します。)
アルバム見開き分を一人で使います。左上に真上から撮影した写真、左下に斜め上方からor自由、好きな位置からの写真を入れます。右上に日付と年齢・性別、解釈。右下に感想をそれぞれ書きます。こんな感じで。
画像
写真は部のカメラで撮影します。箱庭を作った後、少し間を置いて、そのとき感じたことや、受けた印象、気になった点などを、あらかじめメモしておいて下さい。写真ができたら、そのときに解釈をまとめましょう。より明確になることが、あると思います。もちろんその逆もあり、ですが。なお、このアルバムは部室で保管しますので自分のものが欲しいという人は、カメラを持参して下さい。

*解釈…実際の治療場面では、できるだけ、作品をシリーズとして見ることが必要とされます。断定的な解釈を避けるためです。全体的な‘流れ,を作品の中に見出すことは、治療に重大な意味をもたらします。
 ですから、一度作品を作っただけでは解釈のしようがない、というのもあると思います。健康な人の箱庭には、特徴が表れにくいというのも事実です。ただ、これはあくまで「体験」であって、「実習」ではありません。「~かもしれない、いや~かも」「私はこの時~だったから、きっとそれがでているんだ」などと、自由に書いて下さい。あまり深く考えず、いろいろな角度から作品を楽しむことを前提としましょう。

**部員でない方に強制はしませんが、協力して頂けると、ありがたいです。

   効果・解釈編のプリントは、箱庭制作後に配ります。


   参考文献
河合隼雄偏 1969 箱庭療法入門 誠信書房
木村晴子 1985 箱庭療法ー基礎的研究と実践 創元社
プロフィール

ゆきめ

Author:ゆきめ
ブログタイトル:しおんのいだしぎぬ。

日々のこと、趣味について語りたいと思います。
心理学、西洋占星術、歴史(主に院政期)など。
よろしければおつきあいくださいませ☆

2012年11月6日ウェブリブログから移行しました。記事の上にある参照数とブログ気持ち玉はウェブリブログのときのものをそのまま載せたものです。

公募小説の投稿などは「遠野紗雪」という名前を使っています。
note、「小説家になろう」サイトにも投稿しています。

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お手数おかけしますm(_ _)m

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