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2015-12-20

源氏物語深夜の真剣創作60分一本勝負「真木柱」

ーーよそにのみあはれとぞ見し梅の花あかぬいろかはおりてなりけりーー

真木柱は紅梅と再婚し、幸せに暮らしていた。
紅梅には先妻との間に大君、中の君を儲けていた。
真木柱は死別した蛍卿部宮との間に、宮の御方をなしていた。
紅梅と真木柱との間にも、若君が生まれている。


ある日のこと。
「あけびったら、また宮の御方様の衣裳を後回しにして!」
宮の御方の乳母、周防が言う。
あけびというのは縫物係の女房のことである。
この日、言付けとともに宮の御方の衣裳が届けられたのだが、それは紅梅の大納言様の大君、中君の衣裳が出来上がってから大分日が経っていた。
「そんな大きな声をあげるのはやめなさい。一の君(宮の御方)に聞こえてしまうわ」
宮の御方の母、真木柱が周防をたしなめる。
「奥方様がそうおっしゃっても、私は口惜しゅうございます。宮の御方様は、大君、中君よりも優れていらっしゃいますのに、奥方様の連れ子というだけで宮の御方様を侮って」
周防が目に涙さえにじませていうのを、真木柱は少し滑稽にすら感じた。
「お前が宮の御方を思うように、あちらにも大君、中君を慕う女房がいるということよ。幸い一家の主である紅梅の大納言様は三人の娘に分け隔てなく接してくれています。それでいいではありませんか。それに私、『よりも』という言葉は嫌いよ。比べることは、どちらに対しても失礼にあたるわ」
真木柱が語気を強めてそう言うと、周防はしゅんとしてしまい、消え入るような声で
「申し訳ございませんでした」
とだけ口にした。
「今日はもう下がりなさい。私はもう怒っていませんから」
「はい」
と小さく言って、周防は下がった。

真木柱は、周防から受け取った宮の御方の衣裳を眺めていた。
白と二藍を重ねた、「桜」という襲ね(かさね)は、つつましく、楚々とした風情の我が娘によく似合うだろう。
衣裳の出来上がりが遅れたのも、案外この色を出すのに手間が取れたのかもしれない。
明るく、あまり人を疑うということのない真木柱は、こんなふうに考えた。

宮の御方の居室へと向かう。
「一の君、入りますよ」
「はい」というか細い声を聞くと、真木柱は宮の御方の居室へと足を踏み入れた。
宮の御方は、扇で顔を隠していた。
いつにもまして、心に隔たりのある様子だ。
宮の御方は人一倍恥ずかしがり屋だった。
「どうかしましたか?」
真木柱が優しく声をかける。
「実は、その……」
宮の御方が昼の一件を話した。
なんでも今日の昼頃に継父の紅梅の大納言が居室にやってきて、顔を見せようとしない宮の御方に恨み言を言ったのだそうだ。
「私もう、恥ずかしくて、恥ずかしくて。実のお父上からも、あんな風には扱われませんでしたのに」
「あらあら」
真木柱が困ったことね、と独り言のようにつぶやく。
「一の君。大納言様があなたの御顔を見たいといったのは、親心よ。それに、あなたの本当のお父上、蛍兵部卿宮があなたの顔をあまり見たがらなかったのは、ただの無関心よ」
不思議そうな、宮の御方の顔。
「お母さまは、継父である紅梅の大納言様は私に関心があって、実父である蛍兵部卿宮は私に関心がなかったと、そういうの?」
「率直に言ってしまえば、そうね。あなたはまだ幼かったから覚えていないでしょうけれど」
「お母さまは、私のお父上よりも、紅梅の大納言様の方をお慕いしているのね」
宮の御方がこともなげに言う。
「それは……」
真木柱は言葉に詰まった。
それが、真実(まこと)だったためだ。

真木柱は遠い昔に思いを馳せた。
あの日は雪が積もり始めた朝だった。
私は「ご覧になって。もうこんなに雪が」と格子を上げた。
すると蛍兵部卿宮はそれをみて、「はしたない。先の奥は、そんなことは……」と言いかけてやめたのだった。
先の奥方様は、そんなことはしなかった。
真木柱は、夫の言わんとしたことを瞬時に理解した。
この人は、いつも私と先の奥方を比べている。
そしてきっと私は、先の奥方様に勝てっこない。

その日から、真木柱は「よりも」という言葉を使うこと、人と人とを比べることを嫌うようになったのだった。


誰しもが、なにかとなにかを比べている。
それはきっと、仕様のないことなんだ。
真木柱は、思った。
でも、夫はそうではない。
先の奥方と、私を比べることを言ったこともないし、態度に出したこともない。
何て広い心の持ち主なんだろう。

その夜、寝所を共にした紅梅と真木柱は、どちらからともなく今日の一件を話した。
真木柱が、「あなたは本当に度量の大きい人ですわね」と言うと、
紅梅は照れた様子で、「私は物事に対して深く考えないたちなだけだよ」と返した。
真木柱は「うそ」と続けようとして、やめた。
何を言っても、はぐらかされるだろうと思ったからだ。
「私の心は、今もあの時と同じですよ」
そういうと、紅梅は、和歌をそらんじた。

「よそにのみあはれとぞ見し梅の花あかぬいろかはおりてなりけり」
(遠くから眺めるばかりだった素晴らしい梅の花の、いくら見ても見飽きることのない色や香りは折り取ってはじめて本当に知ることができた。)

それはまだ喪中だった真木柱に必死の思いで紅梅が逢ったあと、書き残した和歌だった。

この人と夫婦(めおと)になって、本当に良かった。
真木柱は、しみじみとそう思うのだった。


追記:
和歌の訳は
http://wakastream.jp/
様の訳を引用させていただきました。
ツイッターもされているようです。
https://twitter.com/wakastream
文中の和歌は古今和歌集の素性法師のものです。

主に源氏物語の「紅梅」巻を読んでお話を作りました☆
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2015-12-11

思いつきホロスコープ診断5

禎子内親王(陽明門院)のホロスコープを診てみます。

長和二年七月六日 丑の刻 京都生まれ
西暦にすると1013年8月15日 1時~3時(ホロスコープは2時で設定)出生

〈ユリウス暦で診た改定後〉
獅子座の第三旬の太陽。
王者の威厳と権力欲があり、名誉と栄光を望む気持ちが強いでしょう。
物事に対して全力をあげて正々堂々と取組み、けちなことや卑小さを嫌います。
自惚れに近い自己過信がある反面、寛大さと度量の広さがありますので、自然と配下に人が集まります。
獅子座の第3旬の太陽は支配星の太陽の他に火星のエネルギーが加わり、闘争心溢れる勇気のある人となります。熱情のある、恐れを知らない冒険的気性の持ち主です。

天秤座の月。
親しみやすく社交的な性格で、人に好かれる要素を備えています。
公正な感覚を持ち、絶対平和主義の立場をとりがちです。
道徳的素質についてはやや疑問で、恋愛遍歴を重ねやすく、異性とトラブルを起こしやすいでしょう。

ASC近くに金星があります。
この位置の金星は、美貌に恵まれることが多いです。
愛することや楽しむこと、芸術と関わることなどが人生の目的となりやすいでしょう。調和的な性質と愛される性格のため、周囲から祝福を受けます。

太陽と水星の合。
自己表現力に富む反面、何事も大胆に断言したがり、かなりの偏見の持ち主ですが性格的には健全です。
知的・合理的な精神を持ち、良い意味での実利性もあります。

太陽・水星の合が木星とオポジション。これに月が入って調停(メディエイション)。

金星と海王星がオポジション。これに月が入ってT-スクエア。

火星と金星がセクスタイル。
暖かく、情愛深い人柄です。恋愛面では情熱的で、性的な魅力があります。


〈グレゴリウス暦で診た改訂前>
2008/08/31 18:01 参照数133
ASC近くに金星があります。
この位置の金星は、美貌に恵まれることが多いです。
愛することや楽しむこと、芸術と関わることなどが人生の目的となりやすいでしょう。調和的な性質と愛される性格のため、周囲から祝福を受けます。

太陽・水星・月が獅子座で合。
基本的性格、知性、感情が‘獅子座的に,働くことを示します。
獅子座の太陽。王者の威厳と権力欲があり、名誉と栄光を望む気持ちが強いでしょう。物事に対して全力をあげて正々堂々と取組み、けちなことや卑小さを嫌います。自惚れに近い自己過信がある反面、寛大さと度量の広さがありますので、自然と配下に人が集まります。
獅子座の第3旬の太陽は支配星の太陽の他に火星のエネルギーが加わり、闘争心溢れる勇気のある人となります。熱情のある、恐れを知らない冒険的気性の持ち主です。
獅子座の水星。信念が強く尊大で、自分の考えを絶対視します。命令したり忠告を与えたりすることを好みます。人の上に立つ器量があり、頼まれると面倒なことでも引き受けて世話をします。
獅子座の月。プライドが高く、自分の存在を強く意識しています。嫉妬心が強く、怒りの感情などの悪感情を隠し立てしないところがあります。
太陽と月の合は性格に偏りがみられることを表します。体面を気にしやすく、虚栄心が強いでしょう。視野が狭く、環境に対する適応力を欠きがちです。

これに木星、土星が不調和。
木星との不調和は全てが過剰となりやすく、過度の楽観視によって失敗を招きやすいことを示します。
土星の影響が悪く出ると不満を持ちやすく、失意の多い人生を歩むことになるでしょう。

月と冥王星がトライン。
多情多感で爆発的な気質の持ち主とは言え、気位が高く自分で感情をよくコントロールします。肉親愛に富み、身内意識が強いでしょう。

金星と土星がトライン。
貞操観念が強く、誠実な愛情を示します。

火星と金星がセクスタイル。
暖かく、情愛深い人柄です。恋愛面では情熱的で、性的な魅力があります。


禎子サマは最強なんてわかりやすく女王様なのか(笑)。
太陽、月、ASCサインは性格を決定づける三要素と言われています。この三つのうち二つが獅子座にあって合ですから、獅子座の部分が強く出過ぎて浮き上がったカンジになっちゃってると思うんですよね。だからわがままで気が強くってプライドが高いの(笑)。下僕タイプ(なんちゅー表現)の人間は好きよね、こういうヒト(笑)。
金星の影響がとても良いので、そうじゃなくてもとても魅力的な女性だったと思います。情愛細やかで面倒見が良くて、美人さんでもその際立った個性が、周囲との軋轢を生むこともあるっていう。自分がイチバンじゃないと気が済まないタチの人だからね、嫄子の入内にも立腹するさ。主上から仰せがあっても内裏には参上しないさ。

彼女にとっては頼通がなんだかせせこましく見えたんじゃないかな?(笑)。
嫄子の入内のことも、気の弱い頼通は禎子に極力バレないように話を進めていて、それが気に食わなかったとか。「来るなら堂々と来なさいよ。こそこそ事を進めたりして、嫌らしいったら。そっちがその気なら、私にも考えがあるわ。見てらっしゃい。」みたいな(笑)。んでボイコット。喧嘩上等の俺様体質なところが、能信と気があったんじゃない?(笑)。
「自然と配下に人が集まります」って、不良グループの番長じゃないんだから(笑)。
楽しいホロスコープだ。

   参考文献
岡本翔子 心理占星学入門 2000 扶桑社
石川源晃 1992 [演習]占星学入門 平河出版社
石川源晃 1991 [実習]占星学入門 平河出版社
流智明 1986 占星学教本 JICC出版局
ルル・ラブア 2005 占星学 実業之日本社
プロフィール

ゆきめ

Author:ゆきめ
ブログタイトル:しおんのいだしぎぬ。

日々のこと、趣味について語りたいと思います。
心理学、西洋占星術、歴史(主に院政期)など。
よろしければおつきあいくださいませ☆

2012年11月6日ウェブリブログから移行しました。記事の上にある参照数とブログ気持ち玉はウェブリブログのときのものをそのまま載せたものです。

公募小説の投稿などは「遠野紗雪」という名前を使っています。
note、「小説家になろう」サイトにも投稿しています。

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